「コンテンツマーケティングで成果を上げるには毎月30万円以上コストをかける必要がある」と聞いたらどうしますか?実際、コンテンツマーケティングで成功している事業者は少ないようです。2割以下とも言われています。成功できないほとんどの事業者は途中で断念することが多いようです。何とか続けていても成果を実感できていないと答える事業者が6割です。コンテンツマーケティングをやればお金を掛けずに集客も収益も増やせる、というネットで踊る言葉は、どうやら、「ネット伝説」のようです。
主な内容
コンテンツマーケティングの背景
コンテンツマーケティングだけでは勝てない
コンテンツマーケティングに必要な予算
月間予算30万円が目安
シェアドコンテンツマーケティングでリスクを抑える
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■コンテンツマーケティングの背景
インターネット社会が訪れ、コンテンツマーケティングが、日本でも注目されはじめたのは、2012年以降と言われています。一番のきっかけは、Googleによる「パンダアップデート」や「ペンギンアップデート」による検索結果順位に関するアルゴリズムの変更です。それまでGoogleを意識し、どちらかというと「作為的」に行われたいたSEO対策の見直しが迫られ、新たな、そして「健全」なSEOが必要になったためです。この頃から、知る人ぞ知る的なロングテールSEOも、にわかに注目を浴びるようになりました。今でも、コンテンツマーケティングとSEO対策が同一線上で語られてしまうのは、そんな背景があるからかもしれません。
もちろん、それ以前にもコンテンツマーケティングはありました。また、ネット社会が訪れるずっと以前にも、コンテンツマーケティングと明示的に定義された言葉は存在しないにしても、紙媒体のメディアを中心に、コンテンツでファンを囲い込み、関係性を築いて販売に結び付ける、今のコンテンツマーケティングの原型は確かに存在していました。インターネットが登場するずっと以前から、コンテンツはマーケティングでも重要だったのです。
インターネット、あるいはマーケティングの世界でコンテンツマーケティングという言葉が出始めたのは、おそらく2001年に遡ります。この頃から、アメリカを中心に、インターネットでのコンテンツ配信を戦略的にマーケティングに活用する企業が増え始めました。1994年にネットスケープなどのインタネットブラウザーが誕生し、さらに1998年にGoogleが新たな検索エンジンサービスを引っ提げて登場し、インターネットでの情報収集と情報発信が一挙に活発化したためです。事業者も、ホームページだけがインターネットマーケティングではないと気付き始め、集客や収益に結び付けるために、もっと戦略的に活用できるはずと考え始めたのです。
その後、2004年、当時では企業初となるブログチャネルを開設したマイクロソフト社が、マーケティングの世界でもコンテンツマーケティングの成功事例として取り上げられ、注目を浴びるようになりました。当初はマイクロソフトの社員自らが、社内の様子や出来事、その他日常のつぶやきを発信する、よくある個人のブログのようなものでしたが、企業と言う組織で行うことにより、企業イメージの向上やマーケットとの関係性構築に大きく貢献したと言われています。
2011年、アメリカのオハイオ州クリーブランドで初めてのコンテンツマーケティングの世界大会「Content Marketing World」が開催され、世界18か国、1000人近い人が集まり、大いに賑わいました。当時、コンテンツマーケティングが世界で既に注目を浴びていたことを物語るものでもあります。コンテンツマーケティングが、世界のマーケッターからも新しいマーケティングの手法として期待されていました。
さて、2012年あたりから、日本でも一部のマーケッターを中心に、その重要性が少しづつ認識されるようになったコンテンツマーケティングですが、今日のように、インターネット時代の戦略的なマーケティングの手法として、しっかりと体系づけられたのは、おそらく2014年前後あたりと言えます。ネットやウェブなど、オンラインマーケティングの当時の先駆者が、アメリカでのノウハウや実績を研究し、密かにノウハウを磨き蓄積してきたのです。その成果が実証されるようになり、2014年頃から、徐々にではありますが、広く一般にも知られ始められるようになったのです。しかし、そこからの広がりは急速で、今日では、まさに猫も杓子も「コンテンツマーケティング」と言われるようになっています。
■コンテンツマーケティングだけでは勝てない
このように、ここ数年でまさにブームのようになっているコンテンツマーケティングですが、ネットで踊る数々の輝かしい成功話とは裏腹に、事業者での現状はかなり厳しいようです。
コンテンツを制作しても結果が出ない
コンテンツマーケティングを始めた多くの事業者が途中で断念している
こんな実情が浮き彫りになっています。途中で諦めることなく継続し、その上でしっかりと成果を出している事業者は全体の2割にも満たないと言われています。
原因としては、次のようなことが挙げられます。
企画力不足
コンテンツ制作スキル不足
SEOなどのノウハウ不足
編集スキル不足
リソース不足
資金不足
効果測定の考え方が不明瞭
例えば、個人でブログを書いていたとしても、続けられる人はそう多くはいません。さらに、しっかりと読者を集めて成果を出せる人は極端に少なくなります。こんな当たり前の事実からも容易に想像できますが、コンテンツを書き続けること自体、事業者にとって大きな負担になります。まして、マーケティングとして成果を上げるのは、さらに困難さが増し、そう簡単にはいきません。ノウハウやスキル面もそうですが、やはり大きな原因は、人材やリソースの確保、そして、資金面の問題です。読者を増やすことだけではなく、しっかりと収益としてお金になるまでには、導入から1年、あるいはそれ以上かかることも多々ありますので、企画面だけでなく、体制や資金面の計画や準備、確保も重要となります。
■コンテンツマーケティングに必要な予算
コンテンツマーケティングを始める事業者の約4割は、自社リソースです。つまり、必要なすべてを内製化し、直接的な費用は0円で始めています。しかし、その6割以上は成果を実感できていません。途中で断念した事業者も含めると、8割以上が成果を出せずにいます。自社リソースの場合、継続するのも大変、仮に継続できても、そのほとんどが成果を出せない厳しい現実があります。ただし、実質コストは0円なので、既に継続的な収益を確保できている場合や、持ち出しになっているとしても貯えがある限り、資金的には継続できます。
予算0円は約4割、成果を感じていないのは6割以上
それでは、毎月予算を割いてコンテンツマーケティングを行う場合はどうでしょうか?
ここでも、ちょっと恐ろしい結果が見えてきます。
例えば、月間予算が30万円未満の事業者は約3割ほどいるようですが、それでも成果を見ると、予算0円の事業者とさほど変わりありません。なんと6割以上が成果が出ていないと言っています。むしろ、その数字は、予算0円の事業者より若干高くなります。お金を掛けているから、見る目もシビアになるのかもしれません。
※ 予算は主に外注(一部またはほぼ全ての業務)に使われます。
月間予算30万円未満は約3割、成果を感じていないのは6割以上
この2つの結果がからも見て取れますが、月間予算が30ま円未満の場合、全て内製化して予算0で行っても、一部あるいはほぼ全てを外注しても、ほとんど成果を上げることができていません。これは、コンテンツマーケティングを継続している事業者の数字です。その周りには、途中で断念している事業者がたくさんいるのです。
■月間予算30万円が目安
ただし、30万円以上の月間予算をかけられる事業者を見てみると、この数字が逆転します。つまり、コンテンツマーケティングを継続している事業者で月間30万円以上予算を掛けているのは約3割で、その6割以上が確かに成果を上げていると言っています。
月間予算30万円以上は約3割、成果を感じているのは6割以上
その中でも30万円~50万円(※)が最も多いようですが、大手ののように月に500万円以上のコストを掛ける企業もあります。いずれにしても、コンテンツマーケティングでしっかりと成果を上げるためには、どうやら、月間予算が30万円あたりが、分かれ目になるようです。もちろん、予算だけで成果がでるというわけではありませんが、一つの目安にはなりそうです。(※ 2018年2月の最新情報では50万円~100万円となっています)。
問題は「どれだけの事業者がこの予算を負担できるか」です。
おそらく、ほとんどの事業者には厳しいのではないでしょうか?
コンテンツマーケティングに月間30万円以の予算を掛けられる事業者のほとんどは、決して、コンテンツマーケティングだけに注力しているわけではありません。十分なマーケティング予算があって、その一部をコンテンツマーケティングにも向けることができる事業者と言えます。
一方、予算が30万円未満の事業者は、コンテンツマーケティングそのものにマーケティングコストやその他のリソースを多く割く傾向にあります。ただでさえ、限られらや資金や人や時間などのリソースを、一つのマーケティングに注力させることになります。これだと、かなりリスクが高くなります。成果がなかなか出ないと続けられなくなるばかりか、失敗するとダメージも大きくなります。
この事からもわかるように、しっかりと成果を出すためには、月間で30万円以上のコストをかける必要があります。そして、そのほとんどは、コンテンツ制作を中心とする外注費です。この予算を費やしてもなお、資金力に余裕があることが条件とも言えます。そうでなければ、成果が出せる確率は極端に下がります。あくまでも確率論ですので、限られたリソースでも成果が出せる数少ない事業者になれるのであれば、話は別です。
そこで、限られたリソースの中で取り組むのであれば、中途半端にコンテンツ制作を外注するのではなく自社で賄い、コストはインフラやシステムの運営や維持管理など最小限に留め、できる限り出費を抑える方が得策と言えます。これだと、毎月の運営費は数万円で済みますので、長く続けることもできます。リソースが限られるのであれば、数カ月で成果が出せるというような安易な見通しに立つのではなく、長期的に運営できる計画がより重要になります。そのためには、コンテンツの企画や運営の計画や準備はもちろんのこと、資金面についても長期的な視野に立ち計画と準備を整えることが必要です。
そこで、一つの結論を導くことができます。
「コンテンツマーケティングに月30万円以上の予算を割く余裕がないなら、一層のこと、全く予算を掛けずに全て内製化して0円で行うか、多くとも数万円・・・5万円以内に留めるべき」
ということです。数万円はコンテンツ制作ではなく、インフラやコンテンツ配信のためのシステムなど、運営・維持管理費用です。30万円以上の予算をかけられないのであれば、コンテンツ制作の外注には慎重になることをお薦めします。(しっかりとした勝算に基づく戦略がある場合は別です)。
■シェアドコンテンツマーケティングでリスクを抑える
コストを抑え失敗のリスクを軽減する方法があります。それは、シェアドコンテンツマーケティングをという選択です。
インターネットマーケティングでは、誰もが世界に向けてコンテンツを発信し、それを「共有(シェア)/拡散)」できることが、これまで以上に急速にビジネスを広げる要因になっています。つまり、一たび大きなうねりが起こると瞬く間に拡散し、大きな影響力を持つことも可能です。そのため、オウンドメディアを持ち、確立させ、大きなオンライン(インターネット)の世界(情報網)の中で、多くの参加者たちと共有できる環境を作り上げることが大切です。しかし、その環境を整えることが実は大変です。誰にでも直ぐに参入できるのがインターネットマーケティングのメリットですが、マーケットで共有できる戦略的な環境が整っていないと、大きな力や存在の中に取り込まれてしまい、巨大な情報網とその流れの中で、見えない存在のまま、ほとんど戦略を持つこともできずに、ただ単に知っている手法を継続するだけになってしまいます。
そこで生まれた新しいコンテンツマーケティングの発想が、共有(シェア)というインターネットが本来得意とする概念です。インターネットの巨大な世界(情報網)で、そして誰もが参加できる環境の中でも、まずは、比較的小さな限られた共通の環境を整備し、その中で情報(コンテンツ)を共有し合えるスペース・・・プラットフォームを作ります、そのプラットフォームの力や、プラットフォームの成長を通して、巨大なインターネットの世界(情報網)で自社の存在を魅せ(見せ)、マーケットの中の興味関心を引き寄せる発想です。これなら資金力が乏しくてもできます。
オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディアのトリプルメディアを融合し、シャアドメディアという環境で、ネイティブ広告のようにコンテンツを配信する「シェアドコンテンツマーケティング」は、先行投資や準備もはぼ必要なく、少ないランニングコストで直ぐに始められるメリットがあります。また、自社商材(製品やサービス)そのものをコンテンツとして配信できますので、コンテンツ制作もノウハウやハウツーなどナレッジベースのものより比較的容易にできます。
また、既にオウンドメディアの従来のコンテンツマーケティングを既にやっている、あるいは始めたいという事業者でも、併用して取り組め、相乗効果も期待できます。つまり、商材(製品やサービス)をコンテンツとしたシェアドコンテンツマーケティングを併用することで、通常のコンテンツマーケティングでは成果に最も近い位置にある、「商材」そのものを切り口にコンテンツ配信できます。そのため、商材からノウハウやハウツーなどナレッジベースへ、あるいは、ナレッジから商材へと、コンテンツ間の回遊もできます。
ネットで騒がれるコンテンツマーケティングのブームに踊られ、無計画や甘い見通しで始めてしまうと、多くの事業者のように成果を出せない結果に終わってしまいかねません。資金力がある事業者は、そのメリットを存分に活かして、取り組むくことが成功の近道と言えます。しかし、リソースが限られる事業者には別な方法も必要です。
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