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  • 執筆者の写真松本 啓嗣

将来を約束するインフルエンサーマーケティングプログラム - 10のポイント

デジタルマーケティングの登場により、ここ数年、マーケティングはガラリと変わりました。まるでジェットコースターに乗っているかのような目まぐるしい変化です。広告業界を取り巻く環境も大きく変化しています。広告予算の削減、利益率の低下、人員・人材不足、予測困難な市場動向、ますます増え続ける商品やサービス、その多様化や分散化など、課題でいっぱいです。まさにマーケティング担当者(または代理店)にとってはフューチャー・ショック(未来の衝撃/急速な社会的・技術的変化に対応できないことからくるショック)とも言えます。今後どんなことが起こるでしょうか?


  • 爆発的に増え続けるコンテンツ(販売コンテンツはますます増え、低料金化が進みますが、その分広告コストは割高になる傾向になります)

  • これまでの広告業界のビジネスモデルの崩壊(ソーシャルマーケティングの普及で、消費者そのものが広告代理店の役割を担うようになり、従来通りの広告手法ではクライアントにとっての付加価値は下がっています)

  • 口コミ効果(ソーシャルメディアに加え、携帯やスマホの普及により、口コミによる宣伝効果ますます高まっています)

  • セレブティなど有名人を使った広告効果の低下(有名人の起用は宣伝費が嵩む一方、その効果は薄れています)


そんな中、静かな注目を浴びているのが、今回のテーマであるインフルエンサーマーケティングです。今、最も安く効率的なマーケティングとも言われています。


最近では、アメリカンエクスプレスが地元のスモールビジネス(中小企業や個人事業主)を活性化を目的に行ったキャンペーン「American Express’ Small Business Saturday/Shop Small」の成功事例が、多くのマーケティングの専門家の間で引き合い出されます。ソーシャルメディを活用し、消費者と地域ビジネスをつなぐこのキャンペーンは、デジタルマーケティングにおいて、いかにインフルエンサーの影響力が強いかを顕著に物語っています。

とは言え、多くの人にとりインフルエンサーマーケティングは、まだよく知られていません。または、正しい理解がされていません。そのため、知識不足を逆手に取った、誤った方法や間違った情報などが飛び交い、ミスリードされているのが実情です。インフルエンサーマーケティングを売りにした多くのマーケティング商法も多く出回っています。しかし、決して忘れてはいけないことは、インフルエンサーマーケティングの90%の成果は、わずか3%のインフルエンサーによってもたらされている、という事実です。どんな手法を使ったとしても、何をどんなに努力し、時間と手間暇、お金をかけても、その3%に巡り合えない限り、または、そんな3%の目に留まらない限り、あるいはそんな3%のインフルエンサーに育て上げることができない限り、インフルエンサーマーケティングの成功はありえないと言っています。

そこで、インフルエンサーマーケティングの先進マーケットで活躍するアメリカのプロたちが推奨するアドバイスを10つのポイントにまとめてみました。

ポイント1:ビジネスの基本を再認識する

抽象的に思えるかもしれませんが、すべてはこの言葉に集約されます。プロたちが必ず掲げる重要な点です。収益を上げるというビジネス本来の目的とインフルエンサーマーケティングにズレがないか、コストに対する認識をしっかりと持っているか、顧客や見込客との良質な関係を築く意識や方法を明確に持っているか、これらビジネスの基本となるところに対する認識が希薄だと、絶対に成功しないと断言しています。インフルエンサーマーケティングとは本来、お金をかけないマーケティングです。お金以外に投資しなければならないものがあります。

ポイント2:消費者に売るのでなく人々に伝える

一見、収益を上げることと矛盾しているようですが、インフルエンサーマーケティングではとても大切な考え方です。人が求めているのは商品やサービスを買い求めることではなく、ライフスタイルをエンジョイすること、つまり、より楽しい、豊かな、快適なライフスタイルです。商品やサービスがどうやってそのライフスタイルを届けることができるか、そのストーリーの伝え方をまずしっかりと決め、明確にすることだと言っています。そして、それを伝える以上、そのストーリーに責任を持つこととも言っています。大きな影響力を持つインフルエンサーは自分たちの伝えることに自信と誇りを持っています。それに応えられるストーリーを持っているか、しっかりと伝えられているかが重要なポイントと言っています。

ポイント3:基本は有機的な口コミであること

ニールセンの調査によると、92%の消費者は友達や家族、同僚からの商品やサービスの口コミを信じるそうです。また、マッキンゼーの調査では、C2C商材であるスキンケア商品やスマホ販売においては、口コミが有料広告の2倍以上の売り上げ効果が出ていると伝えています。バズマーケティングや利用者の声など、商品やサービスを推薦するマーケティング手法は各種ありますが、インフルエンサーマーケティングで最も効果を発揮するのは、有償なインフルエンサーや仕組まれたマーケティングでもなく、有機的に発生する口コミだと言っています。また、昨今のアンケート調査では、各種マーケティングや広告に見られる多くの口コミや利用者の声を不快に思う人が増えています。そのため、アメリカではこの手のあからさまなマーケティングは少なくなり、かつてこのような手法でブームを巻き起こしたマーケティングのレジェンドたちは、今では、すっかり第一線からその姿を消しています。

ポイント4:有償インフルエンサーの利用

アフィリエイトプログラムに代表されるような効果的なインフルエンサーに対しては、有償でプログラムに参加することも一つの手として考えられます。インフルエンサーマーケティングの達人たちも、この点は否定していません。但し、確実に利益を確保できることが条件としています。クリックするだけや無償オファーを請求するだけで費用が発生するものは、絶対に行ってはならないと釘を刺しています。有償のアフィリエイトプログラムは、あくまでも数多くある広告手法の一つでしかなく、その効果は一時的かつ断片的と認識すべきです。ここでは詳細には触れませんが、有償のインフルエンサーマーケティングを行う場合には、有機的なインフルエンサーとは別に重要なポイントがあります。

ポイント5:長期的な関係を築く

当然のことですが、インフルエンサーとは長期的な関係を築くことが重要です。ただ、長期的に良好な関係を築き上げることは、口で言うほど簡単ではありません。お金では決してできない、信用という長期にわたる投資が必要です。また、インフルエンサーもコールドコール(新規開拓の営業の手法で、初めての相手に電話を掛けて営業すること)的なアプローチはあまり歓迎していません。仮に首尾よくインフルエンサーを巻き込めたとしても、あまりも短期的な結果を求め過ぎると、その短期的な利益はおろか、長期的な関係も築けません。有効なインフルエンサーを見つけることができないときや、取り込むことができないときは、まずはあなたの周辺の身近な友達や仲間から、小さく地道に始めてみるのも1つの方法です。FacebookやGoogleもそうやって広がり、今では世界的規模の企業へと成長しています。あなた自身が情報の発信源となり、地道に情報を発信し続ける・・・、インフルエンサーマーケティングを始めるには、そんな長期的な戦略を持つ覚悟も必要だと言っています。ただ、地道な努力でも、一たび火がつくと一挙に爆発的に広がることがあるのも、ソーシャルメディア・マーケティングの特徴でもあります。

ポイント6:効果が保証されたインフルエンサーマーケティングはない

口コミマーケティング(WOMM/Word of Mouse Marketing)は効率的なマーケティングと言われています。しかし、現実には口コミで成功しているものはわずか6%にも満たないと言われています。実際にはそんなに効率的とは言えないのかもしれません。それでも達人たちは、有効なインフルエンサーを作る地道で継続的な関係づくりには価値があると言っています。多くのマーケティング商法に踊らされることなく、それぞれのビジネスの原点に立ち返った活動が、結果的には成功の近道になると言っています。

ポイント7:最適なインフルエンサーを見つける

インフルエンサーが伝えるものは商品やサービスではなく、ライフスタイルというストーリーです。ストーリーを伝えるものにも適任者がいます。Facebookはハーバード大学の中で生まれ学内に広がり、やがて他の大学へと広がるキャンパスライフのソーシャルネットになり、さらに学生やOB、教授たちからキャンパス外へと口コミでうわさが流れ、全米はもとより世界へと広がりました。その背景には、その都度、有効なインフルエンサーとなる人たちを取り込んでいます。マーク・ザッカーバーグが最初に取り込んだのは、パーティー好きで乗りの良い学生たちだとも言われています。Facebookは乗りの良い彼らの口から口へと広がり、あっという間に大学全体へと広がっていきました。インフルエンサーとは、その時々の題材、タイミング、地理的条件などなど、さまざまな環境や状況で変わります。効果的なインフルエンサーを見つけることが重要です。

ポイント8:インフルエンサーは “代弁者” でも “擁護人” でもない

あなたの商品やサービスのファンや従業員は、商品やサービスの良さを伝えてくれるかもしれませんが、彼らはインフルエンサーではありません。多くの人はこの点を混同しているようです。インフルエンサーは単にあなたの商品やサービスにいいねボタンを押し、シェアし、伝える人たちではありません。インフルエンサーとは人々の行動変化をもたらす重要な役割を果たす人たちです。インフルエンサーには、あなたの商品やサービスがもたらすライスタイルの変化を世の中に推奨したいという明確な意思と意図があり、その影響力を発揮します。彼らにインフルエンサーとしての自覚や認識があるものもいれば、そうでない人たちもいます。どちらにしても、彼らにはあなたのストーリーを広めたいという明確な意思があります。

ポイント9:一貫性のあるストーリー

有償であれ、無償であれ、インフルエンサーとしてメッセージを伝えるには、そのストーリーの分かりやすさと一貫性が大きなポイントとなります。例えば、よく理解できないセミナーや講演の内容を誰かに伝えたいと思いますか?そんなにセミナーや講演に心が動かされるでしょうか?そこにストーリーをイメージすることはできるでしょうか?インフルエンサーが伝えるメッセージは、あなたが届ける新たなライフスタイルのストーリーです。そこには人の心を動かす、分かりやすい一貫したストーリーの存在が必要です。そして、そのストーリーこそが、あなたのビジネスのブランドです。つまり、ストーリーは、ビジネスを始める前の準備段階にも、商品やサービスを開発する時でも既に存在し、始まっています。

ポイント10:測定できなければマーケティングではない

口コミは測定できないという議論があります。しかし、これは大きな勘違いだと言ってます。インフルエンサーとは明確な意図を持ってあなたのストーリ-伝えようとする人たちです。そんなインフルエンサーを見つけてマーケティング戦術の一部にするためには、客観的な数字で検証し測定できることが前提になるからです。


インフルエンサーマーケティングは取材や記事とも相性が良く相乗効果が高いとも言われています。インフルエンサーマーケティングのプロたちたちは取材記事を上手に取り入れ、その効果を最大化しています。ただし、取材は誰もが受けたいと思っても、簡単に受けられるものではありません。プレスリリースを継続的に地道に行い、取材のチャンスを掴む方法もありますが、良質な記事広告を書いてもらうことも効果的だと言っています。ソーシャルメディアの活用やブログでの情報発信などに加え、様々な広告やマーケティング活動の一つとして、記事広告を推奨しています。


先が読みづらい時代だからこそ、将来の約束が欲しくなります。インフルエンサーマーケティングがその将来の約束になるかもしれません。

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