松本 啓嗣
アメリカに見る広告とマーケティング事情。2030年、向こう12年の動向を予測する。
インターネットがマーケティングの主流になり、販売の場は、よりバーチャルの空間に移行しています。これまで、人が行ってきた販売に係る業務が、ネット上でどんどん効率化されています。営業にかける費用が減る中、広告宣伝、マーケティングにかける費用はますます増えています。マーケティングの基本は露出ですが、インターネットのマーケティングでは、とりわけ、この露出が勝敗を左右することもあります。今回は2030年までの今後12年間、広告宣伝にかかる費用を見ながら、マーケティングの動向を見てみたいと思います。

主な内容
マーケティングミックスを知る
2016年と2030年のマーケティングミックで比較する
2016年と2030年の比較で見えてくるもの
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■マーケティングミックスを知る
広告宣伝やマーケティングの動向を知る上で、押さえておきたいものがあります。
どこで広告が出されているか
何の目的で出されているか
この2つの今と今後を押さえていると、何となく動向が見えてきてきます。
●どこで広告が出されているか
「どこで広告が出されているか」は媒体です。何のメディアを使って広告を出していること言うことです。大きく2つに分けれます。
ATL(Above the Line)
マスメディア4媒体(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)+WEBを使った広告宣伝
【例】テレビ/デジタル/新聞/雑誌/ラジオ/屋外広告/映画
BTL(Below the Line)
イベント、ダイレクトメール、店頭POPなどマスメディア4媒体以外を利用した販促やプロモーション
【例】スポンサーシップ/PR/テレマーケティング/DM/価格・店頭プロモーション
●何の目的で出されているか
「何の目的で出されているか」も大きく2つに分けることができます。
BB(Brand Building)/ブランドビルディング
ブランド認知やブランド形成を目的とした広告。関係性構築やイメージ戦略など。
CTA(Call to Action)/コールツゥアクション
何らかのコンバージョンを目的とする広告。主に収益獲得のため、あるいはそのフロントエンドのためもの。
この4つのミックスで見てみると、今後どういう目的でどの媒体に力を入れてマーケティングを展開すべきかがよくわかります。マーケティングミックスという考え方ですが、アメリカのマーケティングの現場ではよく使われます。
■2016年と2030年のマーケティングミックで比較する
さて、欧州系投資銀行の一角を成すCredit Suisseが行った広告に関する調査レポート「The Future of Advertising」の中にこのマーケティングミックスに関する実に面白いデータがあります。今回はその数字を拾って、米国の広告業界の動向を見ながら、日本でのマーケティングを考えてみます。
参考にしたデータは、先ほどの調査レポート「The Future of Advertising」の中の以下の個所です。

(Credit Suisse:The Future of Advertising)
この部分をわかり易くエクセルにしたのが以下の表です

この4つのミックスをそれぞれ2016年と2030年で比較したグラグが以下の4つです。
(1)ATL(2016 vs. 2030)

(2)BTL(2016 vs. 2030)

(3)BB(2016 vs. 2030)

(4)CTA(2016 vs. 2030)

■2016年と2030年の比較で見えてくるもの
これらの動向から、それぞれの事業者がそれぞれの状況で行うべきマーケティングの施策も見えてきます。
ATL(Above the Line)
ATLではデジタル、つまりウェブの広告やマーケティングがますます増えます。テレビも相変わらず多いですが、これは明らかに広告(マーケティング)予算がしっかりある企業の話です。スモールビジネスは、ウェブに注力した効果的、効率的なマーケティングを行う必要があります。お金をかければウェブでも様々な施策を打つことができますが、それが無理なら、何に注力すべきかをしっかり見極める必要があるでしょう。
資金や人材などリソースが限られるスモールビジネスの事業者にはシェアド・コンテンツマーケティング(SCM)が選択肢の一つになります。
シェアド・コンテンツマーケティング(SCM)に関する一連の記事はコチラ
BTL(Below the Line)
BTLでは、今後テレマやDMはますます激減すると予想されています。あくまでの米国の事情ですが、日本でも、おそらく若干のタイムラグがあるにせよ、同じトレンドを追います。よっぽど戦略がしっかりあるか、その部分に強く結果も出しているのなら別ですが、ここに注力すべきではありません。よりダイレクトに販売に直結する店頭でのプロモーション、ポップや価格設定などが重要になります。
また、スモールビジネスの事業者にはちょっと難しいかもしれませんが、スポンサーシップなどもますます増えていくと思われます。ただし、スモールビジネスにはハードルが高いと思われますので、スポンサーシップではありませんが、ジョイントベンチャーやコラボと言う手もありあす。しかし、スモールビジネスが大きなビジネスと組む場合は、よっぽど相手にメリットがなければ組んでもらえません。しっかりと策を練る必要があります。
BB(Brand Building)/ブランドビルディング
ブランディングの注力はテレビ、デジタル、スポンサーシップです。このメディアの比重はますます高くなります。ただし、スモールビジネスが注力すべきところは、やはりインターネットを活用したブランディング認知と形成です。コスト、人を含め、如何に負担をかけずに、効率よく施策を行うかが鍵とになります。
BBにおいても、資金や人材などリソースが限られるスモールビジネスの事業者にはシェアド・コンテンツマーケティング(SCM)が選択肢の一つになります。
シェアド・コンテンツマーケティング(SCM)に関する一連の記事はコチラ
CTA(Call to Action)/コールツゥアクション
CTAのトレンドは顕著です。今後はデジタル(インタネット)と店頭での販売・販促に注力すべきです。まさにO2O(OtoO/Online to Offline)は、今後の販売でもマーケティングの主流です。
いかがでしょうか?アメリカの動向分析ではありますが、トレンドとしては日本でも同じことが起きると言えます。12年先ではありますが、今も既にその動向が始まっています。早い段階から、しっかりと焦点を合わせてスタートするほうが得策です。
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