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執筆者の写真松本 啓嗣

AIは私たちの社会をどこまで変えるか?GoogleのCEO、サンダー・ピチャイ氏の熱い想い。


Googleと言えば、世界最大の検索エンジンサイトですが、同社が有名なのはそれだけではありません。今、世界で最も先進的なAIテクノジーを誇る企業の一つでもあります。アメリカの全米三大テレビネットワークの一つであるNBCがそのYouTubeチャネルで、GoogleのCEO、サンダー・ピチャイ氏を招いて行った興味深いゲストディスカッションの映像を見つけました。AIは私たちにとって新たなチャンスを生み出すのでしょうか?それとも脅威となるのでしょうか?同氏が語るAIへの熱い想いとは?


主な内容

  • AIが実現している今の社会とは?

  • AIは雇用を救えるのか?

  • AIは電気や火よりも大切なもの?

◇◇◇◇◇◇◇

■AIが実現している今の社会とは?

AIには常にポジティブな側面とネガティブな側面が混在します。また、どちらの側面を見てしまうかは、AIへの理解にもよりますが、それぞれが置かれた生活や仕事の環境にも大きく影響されます。

このゲストスカッションはAIの技術を語る場ではなく、AIが人々の雇用にどのような影響を与えているのか、あるいは今後与えるのかを、議論しています。

ゲストに招かれたのは、AIの最先端を行くグローバルIT企業、GoogleのCEO、サンダー・ピチャイ氏、そして世界最大規模の動画共有サービスを展開するYouTubeのCEO、スーザン・ウォシッキー氏の2名。

ご存知の通り、YouTubeはGoogleの傘下にあります。YouTubeには毎日一分間に100時間を優に超える動画が投稿され、ウォシッキー氏よれば、世界の法律と照らし合わせ、それれを適切に処理するには、AI技術がなければ実現することはできないと言っています。Googleの技術が必要なのです。

AIは私たちの生活をより便利に快適に、そして、楽しいものにもしてくれますが、一方で弊害もあります。例えば、AIは私たちの雇用を奪っているという現実があります。

GoogleのCEO、ピチャイ氏は、AIは私たちの新たな雇用を創出していると主張しています。確かに、AIによって創出される新たな雇用もあり、そこに従事できるものにとっては、まさにチャンスになります。しかし、AIによって失われる雇用があるのも事実です。そして、それらを生活の糧とするものにとっては、AIは脅威にもなります。

テクノロジーの進化は目まぐるしく、これまで人が行っていた仕事をいとも簡単に別な形にして、完結してしまいます。それにより失われた雇用機会を取り戻す作業は、現実問題として、テクノロジーの進化には追いつくができていません。テクノロジーだけがどんどん前を進んで行きます。それどころか、失われた雇用機会は、新たに生まれた雇用と同じ場所にはありません。遥か遠くにあります。

テクノジーと共に歩める者、そして資本を持つ者はますます裕福になりますが、テクノロジーと共に歩めない人たちはどんどん後ろに取り残され、ますます格差が広がります。

これがAIが実現する、私たちの新しい社会の現実なのでしょうか?

 

■AIは雇用を救えるのか?

また、番組の冒頭では、アメリカのトランプ大統領の移民政策についても語られています。

トランプ政権によって移民を排除しようとする政策は、アメリカの雇用を守るためと大統領は主張していますが、明らかに大統領の支持層への政治的プロパガンダです。人気取りでしかありません。しかし、大統領の支持層をこのまま惹きつけるためには、実際に、強固な移民政策を取ることも必要になります。大統領が本心で正しいと思っているかどうかは別にしても、その政策を取らなければ、彼の支持層が離れてしまいます。

GoogleのCEO、ピチャイ氏にすれば、トランプ大統領が行おうとする反移民政策は、アメリカのテクノロジーの進歩と経済の拡大を阻害するものであり、ひいては雇用そのものにも悪影響を与えると警鐘を鳴らしています。Googleは、世界でも最も多くの外国人を採用する企業でもあり、国籍を問わず優秀な人材を採用することで、テクノロジーの新たな進化を生み出し、アメリカや世界の国々で新たな雇用を創出し、そして、アメリカ経済はもちろんのこと、グローバル経済をけん引しています。

今、仮にGoogleが消滅するようなことがあれば、間違いなく、世界は大混乱に陥るでしょう。

しかし、もし、今、トランプ政権が消滅したら、果たしてどんな混乱が世界に起きるのでしょうか?

Googleは世界の優秀な人材を採用し続け、世界の英知を結集することで、新たなテクロノロジーを生み出し、アメリカのみならず、世界をより豊かにしようと考えています。(その裏には世界制覇の野望があるのかもしれませんが・・・???)。そのためには、世界中のより多くの優秀な人材を採用することが必要となります。

ピチャイ氏は、「AIによって失われる雇用もあるが、AIにより今後生まれる新たな雇用もたくさんある」、と言っています。また、「既に多くの新しい雇用も生み出している」とも付け加えています。

ピチャイ氏がトランプ大統領の反移民政策に同調することはないでしょう。明らかに見ている先の世界が違います。

 

■AIは電気や火よりも大切なもの?

ビデオを視ていると、GoogleのAIに対する信念や野望は相当強いと思えます。

ピチャイ氏が、ふと思いついたフレーズなのか、前からずっと使っていたのかはわかりませんが、

AIは電気や火よりもずっと意味深いもの

と言っている場面があります。思わず、司会者からの突っ込みもありましたが、こんな言葉が出てくる背景には、AIに対する並々ならぬ思いがあるのだと思います。

電気や人と比べるところにも、何やら意味深なものを感じますが、選択した「profound」という言葉にも、同氏の相当深い思い入れや信念、さらには静かな野望のようなものを感じ取ってしまいます。

その昔、私たちの祖先が火を起こす術を発明してから、人類は大きな進歩を遂げました。火は畏れるものではなく、自ら起こし操るものになり、新たに何かを作り出す手段にもなりました。

その後、電気の発明により、私たちの生活はさらに近代的になり、文明社会を手に入れました。暗い夜が灯りで照らされるだけではなく、音や映像が空間を飛び回る世界になり、そしてやがてコンピューターやインターネット、スマホまで手に入れることができました。そして、その電気のおかげで、私たちはAIをも手に入れたのです。

そして、今、そのAIは、「火」や「電気」の発明の進歩に遥かに超え、これまでにもなかった新たな人類の進歩を実現しようとしている、ということを意味しているのでしょうか?

ピチャイ氏には私たちにはまだ見えない、もっと意味深いもの、奥深いもの、根底から何かを変えるような世界をAIに見ているのかもしれません。

「AIは既に新しい雇用を生み出している」と同氏は語っていますが、AIが生み出すのは雇用だけではなく、雇用のスタイルを根本的に変えてしまう新たなパラダイムなのかもしれません。彼にはそれが見えていて、あえて口にしないとしたら、それは私たちにとってパラダイスなのか、あるいは脅威なのでしょうか?

今のところ、Googleのスマートスピーカーは、その質問に答えは持っていないようです。



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