シェアド・コンテンツマーケティングはストック型メディアとしての機能も持っています。ただし、その特徴は従来のコンテンツマーケティングのように自社サイトでオウンドメディアを構築し育てる方法とは異なります。今回の記事ではシェアする『共有型メディア』としてのストック型メディアの機能を見てみます。もちろん、そこにはメリットもデメリットもあります。
主な内容
ストック型メディアを理解する
コンテンツマーケティングはストック型メディア
シェアドコンテンツマーケティングでのストック型メディアの意味
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■ストック型メディアを理解する
ストックメディアについてはご存知ですか?マーケの得ダネの読者の方なら、もうご理解頂いているかと思いますが、もし、今回初めて目にした方、あるいは、よく思い出せない方は、ぜひ、以下の記事もお読みください。
ストック型メディアを簡単に説明すると「コンテンツを蓄積(ストック)しながら構築できるメディア」ということです。初めての方には、「何を言っているのか、さっぱりわからない」、と思われるかもしれませんが、早い話が「ブログ」です(これに限りませんが・・・)。
ブログは、一度記事を公開すると、削除しない限りずっとウェブの1ページとして存在し続けます。また新しい記事を公開すると、その記事も、削除されない限りずっと残ります。こうして記事を公開していけばいくほど、コンテンツがどんどん蓄積されていくので、ストック(蓄積)型メディアと呼ばれています。
メリットは、記事がどんどん蓄積されていくことで、コンテンツが資産として形成されて、サイトのパワー(ドメインパワー)が強くなり、サイトとしての価値も高まります。Googleも、「うん、このサイトはどんどん新しいコンテンツ(ページ)を更新しているな」と評価し、結果的に検索順位があがることも期待できます。ウェブ上で検索できるコンテンツも増えていきます。つまり、コンテンツを配信しているサイトそのものが評価され、サイトの力(パワー)が増すということです。
■コンテンツマーケティングはストック型メディア
従来のコンテンツマーケッティングの一番の特徴は、ストック型メディアであるということです。コンテンツマーケティングが、なぜ、集客や収益に有効かは、以下の流れを見るとよくわかるかと思います。
コンテンツをどんどん公開する
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コンテンツがウェブ上に蓄積される
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コンテンツが資産価値を持つ
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サイトパワー(ドメインパワー)が強まる
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Googleに評価される
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検索順位が上がる
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自然検索からのアクセス(流入)が増える
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サイトの価値が高まる
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ブランド認知が確立され利用者との関係性も強化される
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問い合わせや集客など、リードが安定化し自動化する
サイトのパワーが増し、検索エンジンの上位表示されると、検索エンジンからの流入が顕著に増え始め、問い合わせなど、コンバージョンも増えるので、集客(見込客発掘)、そして収益へと繋がります。こうして、検索エンジンからの流入が安定すると、集客がほぼ自動化してしまう、というメリットもあります。事業者にとっては願ってもない大チャンスです。こんなことが実現すると、他の集客、例えば、さまざまな広告なども一切不要で、ほぼ自然検索だけで集客ができるようになります(ただし、ここで手綱を緩めると失速することもありますので、引き続き、さまざまな施核は必要ですが・・・)。
夢みたいな理想の状況だと思いませんか?
ただし、そう簡単ではありません。時間もかかります。数年かかることも当たり前ですし、場合によっては、何年続けてもなかなかうまくいかないこともあります。その間、ずっと良質なコンテンツを配信し続けなければなりません。この点がコンテンツマーケティングのデメリットです。
しかし、自社のサイトを育てるということは、マーケティングとしてはとても有効で有益です。直ぐには目立った成果が表れないとしても、お客様やマーケットとの関係性が築かれ、ブランド認知も構築できると、いずれ、必ず収益にも結び付きます。
まさにコンテンツマーケティングのゴールはここにあります。簡単ではありませんが、上手くいけばそのリターンも大きいので、ぜひ、全ての事業者に取り組んで頂きたいところです。
■シェアド・コンテンツマーケティングでのストック型メディアの意味
一方、シェアド・コンテンツマーケティングもストック型メディアではありますが、その機能や意味は、従来のコンテンツマーケティングとは大きく異なります。
シェアド・コンテンツマーケティングのメリットとデメリットを説明した記事(『シェアド・コンテンツマーケティング(10)』プラットフォームを共有するメリットとデメリット)の中でもお話しましたが、シェアド・コンテンツマーケティングのデメリットは「自社サイトとしての資産形成には向かない」点です。
当然ながら、メディアサイトは自社のものではなく、運営者が提供するプラットフォームを複数の事業者で共有しますので、そこでのコンテンツはウェブ上にはどんどん蓄積されますが、自社サイトとしての資産にはなりません。もちろん、公開したコンテンツは各社のもので、それぞれの事業者の作成コンテンツとしてウェブ上に残り、各社のコンテンツとして、ウェブ上の検索対象にもなります。その意味では公開コンテンツは各社の資産を形成しています(特に運営者側での規定がない限り、著作権も各事業者のものです)。しかし、「自社サイト」の資産を形成するわけではありません。
つまり、積み上げられたものは自社のコンテンツですが、それらが自社のサイトを育てるものでも、強化するものでも、あるいは資産を形成するものはもなく、自社サイトに直接的に影響を与えるものではありません。自社サイトへの影響は全て間接的です。
例えば、自社ホームページとシェアド・コンテンツマーケティングのメディアサイトの関係の場合、公開したコンテンツにあるリンクからのホームページへの流入と、ホームページへの被リンクによって、自社ホームページの育成、強化、資産形成を間接的に行います。
また、自社コンテンツマーケティングのサイトをお持ちの場合も同様です。シェアド・コンテンツマーケティングのメディアサイトで公開したコンテンツのリンクからの流入と、被リンクによって、自社のコンテンツマーケティング・サイトを間接的に評価することになります。また、コンテンツマーケティングだけでは、検索エンジンからの流入が直ぐに増えることはありませんので、コンテンツマーケティングへのフロントドアー、あるいはゲートウェイ的な役割として、自社サイトを間接的に強化することには役立ちます。
下の図は「【コンテンツマーケティング】成果がでる、でないはこれで決まる! 『制覇その5:コンテンツはこうして作る』」でも使用したものですが、この図の一部を置き換えて見ると、シェアド・コンテンツマーケティングと自社サイトの関係もわかり易いと思います。
左側(緑)のホームページは自社サイトです。自社のコンテンツマーケティングのビジネスブログサイトと置き換えても結構です。
右側(茶色)をシェアド・コンテンツマーケティングのメディアサイトに置き換えて下さい。
それぞれは、被リンクの関係です。被リンクにより自社サイトの評価につながります。また、実際にユーザーがシェアド・コンテンツマーケティングのコンテンツのリンクから自社サイトに流れることで、自社サイトへのアクセスを集め、サイトの評価につながります。
つまり、シェアド・コンテンツマーケティングはストック型メディアで、公開した自社コンテンツをどんどんウェブ上に蓄積していきますが、自社サイトの育成、強化、資産形成を直接おこなうものではなく、あくまでも補完的な役割で、間接的にサポートすることに留まります。この点が、従来のコンテンツマーケティングのストック型メディアの機能や意味と異なる点です。
これがシェアド・コンテンツマーケティングのデメリットでもありますが、実は、それを埋め合わせる以上のメリットもあります。そもそも、従来のコンテンツマーケティングの最大のデメリットはなかなか成果がでないということです。これが、スモールビジネスの事業者にとっては、時に致命的な結果にもなります。もともと、あまりリソースに余裕があるわけではないので、長く成果が表れないと、資金が続かなかったり、業務を負担し続けることができなくなり、途中で止めてしまうことも多くあります。シェアド・コンテンツマーケティングは、そんなスモールビジネスにとって有効に活用できるマーケティングでもあります。
次回は、このシェアド・コンテンツマーケティングのストック型メディアとしての機能の中身を、もう少し見ていきます。そうすることで、コンテンツマーケティングの最大のデメリットをどう補えるかもお分かりいただけますし、また、新時代のビジネスのキーワードである「シェア」との関連性も見え、その重要性についても、さらに深くご理解頂けるかと思います。
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