社長は日々、色々な決断をしなければなりません。「そんなこと、自分で考えろ!」、そう言いたくなりますが、もしそうなら、どこまで裁量権を与えるかを決めなければダメです。そして、その裁量権を与えたら、結果に対して責任をとると自分に決める必要もあります。また、その結果の原因に対して、どう処置し対応を取るかも決めなければなりません。常にいろいろなことを決め、決断することが仕事です。簡単なのは決めない選択を取ることですが、そうはいきません。
主な内容
毎日が決めることの連続
決めるということは他の選択肢を捨てること
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■毎日が決めることの連続
起業するとよくわかることがあります。それは事業をするってことは、随分と決めなければいけないことが沢山あるってことです。
例えば、購入や支払一つとってみても、「何が何のために必要か?」、「選択肢に乗せるのはどれにするか?」、「どういう基準で選ぶか?」、「それぞれいくらまでお金をかけられるか?」、「支払いは、どのようにいつまでに払うか?」・・・、まだまだいっぱいあります。
最初のうちは楽しかったり、自分のペースで決められるものはあまり苦にならなかったりします。しかし、いろいろなことが絡んでくるようになると、自分のでペースだけで決められなくなり、逆に決めることを迫られることが多くなります。「これ、どうしますか?」、「あれ、どうしましょう?」、「いつまでにお返事いただけますか?」、「あの件、まだ解決していませんが、今、決めて下さい!」、「うちは困ってるんだ。今すぐ何とかしてくれ!」、「これ、できませんか?」、「御社で、やってもらえますか?」、「いつまでに支払ってもらえますか?」・・・、誰かに決めることを迫られると、途端にうっとおしくもなります。
でも、決めることはそれだけではありません。「誰にアプローチしよう」、「何をやろう」、「いつまでに何をやればいいんだ」、「新しい何かが必要なんだけど・・・」・・・、漠然としたものを明確にするために、色々と考え決めていくプロセスもあります。
当然、決めたことは実行しなければなりません。と、なると、決めたことを先延ばしにせず、確実に実行していくという、実際の行動を踏み出す決断も必要です。実行するという決断です。
とにかく、毎日が決めることの連続です。
決めることから逃げ出し、決めない選択を取り始めると、物事はどんどん手の上からあふれ出し、掌握できない事態がすぐに始まります。
そうなると、確実に会社を潰します。
■決めるということは他の選択肢を捨てること
ある人が、会社を辞め独立することを決めました。
「今度、独立して○○を始めます」・・・いいですね。決めました。
しかし、数か月後、様子を聞いてみると
「ああ、あれダメですね。うまくいかないですよ。それより、こっちが儲かりますから、これをやろうと決めました」・・・えっ、決めた?
そして、またしばらくたったある日、
「あれもダメだったな。人が言うようにうまくなんていかないよ。それより、これ、どう思います?いいでしょ?今度、これ、やろうと思うんですが・・・」・・・あれれ?また、決めるの!?
この社長、いろんことを次から次へとたくさん決めているようですが、実は何も決めていません。
あえて言うのであれば
「決めてもやらないと決めている」・・・つまり、「継続しないことを決めている」
と、いうことではないでしょうか?
„
決めるということは「決断」すること
”
です。
„
「決断」するということは、「決め」て「断つ」といういこと
”
です。つまり、
„
他の選択肢を捨てること
”
です。
もちろん、決めたことが誤りとわかれば、できるだけ早く修正が必要です。時には撤退も必要です。その決断と行動は、速やかに、大胆にやるべきです。
しかし、決めては止め、また、決めてはやめを繰り返すのであれば、それは決めていることにはなりません。なぜなら決断していないからです。「決め」て「断つ」こをしていません。むしろ、こうした態度がその人の経営の姿勢・・・人生の態度そのものなのでしょう。どこかで気づいて絶たなければ、一生繰り返します。
「覚悟して果敢に決めて、しかし、無念にも負けや過ちを認めて、速やかに撤退する」こととの違いは、説明するまでもなく、明らかでしょう。
実は、正しい決断など、やってみなければわからに事ばかりです。決断が正しかったのではなく、正しい決断だったとするために動くしかありません。
決めて動いて、思い描いた形にしていく・・・、決断とは、他の選択肢を捨てることですから。
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