さて、ちょっと想像してみてください。
あなたは既にTwitterのアカウントを持っていて、毎日幾つかのイケてるツイートもしています。なかなか評判もいいようです。また、Facebookでは既に多くの友達ともつながっています。「いいね」もたくさんもらえています。毎日少なからずSNSに時間を割いて、情報を発信しています。でも、あなたの商品は一向に売れていません。一体いつになったらこれらの努力がお金に変わるのでしょうか?
「ソーシャルメディアで誰でも直ぐに簡単に稼げる・・・」。ネットではよく見かけるフレーズです。もしあなたがそう信じているのであれば、この記事は、あなたにとって決して他人事ではありません。
ボストンに拠点を置くSkyword社のJonathan Crowl氏はこうこんな記事を書いています。「多くの人はソーシャルメディア マーケティングを使えば早く収益を生み出すことができると期待しているようですが、現実はそう簡単ではなく、目指す収益目標を達成するには想像以上の長期的計画が必要なことを知って、誰もが失望してしまう・・・」。
Crowl氏によると、ネットショップのマーケティングでSNSを活用しているアメリカ国内の企業や事業者対象に行ったある調査結果では、実に約半数の企業や事業者は収益をあげるまでに2年以上かかっています。逆に49%の企業や事業者はソーシャルメディアを活用していても収益にはつながっておらず、SNSが売り上げに貢献していない現状が見えてきます。調査会社では、これらの原因は彼らが必要なマーケティングのツールを使っていないか、あるいは使いこなしていないためではないかと、指摘しています。
果たして本当にそうなのでしょうか?
アメリカでは、ソーシャル・メディア・マーケティングを販売戦略に取り入れている企業や事業者のほとんどは、約6カ月で収益化するという収益プランを立てているようです。ブランド力があるビジネスや企業では、さらにこの期間を短く見る傾向にあります。また、B2Cを展開するビジネスも、B2Bブランドに比べると、やや楽観視しているようで、早期の収益化を想定しています。特にニッチな商材を扱う企業ほどその傾向が強いようです。
また別の情報ソース(Boostlikes社、James Parsons氏)は、さらに衝撃的な事実を伝えています。アメリカ国内ではソーシャルメディアで収益をあげている中小企業は、全体のわずか39パーセントにも満たず、さらには、収益を上げている企業や事業者を見てみても、その57%は1000ドル以下の収益しか生み出していないという、極めて厳しい現状が浮き彫りになったと伝えています。悲しいことに、このような状況に陥っても、彼らはソーシャルメディアを続けるしかないというのが実情のようです。アメリカの多くの専門家は、ソーシャルメディアのマーケティング戦略では、楽観的なイメージが先行してしまい、また、業者の巧みな宣伝広告に惑わされてしまうので、的確な予測とプランを持つことなく、安易な行動に出てしまうと警鐘を鳴らしています。また、同時に、楽観的な短期収益化の目標だけではなく、長期的な視野に立った目標も設定し、しっかりとした収益計画を立てるこが重要とも言っています。
日本ではこのような調査は行われていませんが、横並びで似たようなビジネスが多く乱立する日本のマーケットでは、おそらくその実態はアメリカ以上に深刻ではないかと想像できます。
では、ソーシャルメディマーケティングでネット販売をするには、何が大切なのでしょうか?
インタネットで全世界にニュースを配信するPW Week社によると、米国の企業がデジタルマーケティングに費やす金額は、まだマーケッティング予算全体のわずか16%程に過ぎませんが、この数字は増える傾向にあり、今後より多くの投資がソーシャルメディアに対しても行われるようになると予想しています。同社では、ソーシャルメディアは今後ますます繁栄し、より大きな変革が起きる可能性があるとも示唆しています。
ウェブマーケティングやサービスを展開するRebuild Nation社の最高執行責任者 Josh Gershonowicz氏は、The Huffington Post社とのインタービューの中で、今後のソーシャルメディアからもたらされる収益をより強固にするためには、2つのソースが不可欠と明言しています。その2つとは、ユニークでオリジナリティのある強力なコンテンツを持つこと、そして、それを多くの人と共有(シェア)すること、と言っています。
コンテンツと共有こそがネットマーケティングの重要なソースと言っています。
つまり、ソーシャルメディア マーケティングで成功を決定的にするものは、皮肉にも彼らがビジネスとするマーケティングのツールや手法などではなく、他には真似ができないようなオリジナリティを持つユニークなコンテンツを作りあげることと、それをソーシャルメディアのタイムライン上で一貫して発信続けることだと言っています。記述の調査会社の分析と異なるのが興味深い点ですが、ウェブマーケティングやソリューションを提供し成功している企業のCEOの見解であることが、その信憑性を高めています。
ソーシャルメディア マーケティングを活用して収益を上げることは、他のマーケティングや営業手法と比べても、実は時間がかかるものなのです。特にコンテンツに明確な差別化がない場合は、いつまでも収益化できない状況が続くということを覚悟しなければなりません。ソーシャルメディアを活用すれば、誰でも簡単に早く儲けることができると謳うことは自由ですが、実際にビジネスを行うのであれば、この記事で明らかとなった事実を直視し、現実的な戦略をしっかりと持った上で、プランを組み立てることが大切です。
ただ一方でCrowl氏は、ソーシャルメディアでは、商品のベネフィットがはっきりしていて差別化が明確であれば、その情報を正しく、そして一貫して発信し続けることで、おそらくこの「苦しい戦い」を早く終わらせることができる、とも付け加えています。そして、一旦収益化できれば、その後の収益は、他のメディアやマーケティングとは比較にならないほどの早いスピードで拡大させることができるのが、ソーシャルメディアの特徴だと言っています。情報の拡散や共有というソーシャルメディアならではの人々の行動パターンがあるからです。
また、同氏はこの事実を裏付けする良い事例として、カナダのある小さな会社のヘアケア製品を取り上げています。その会社は自社で製造するオーガニック・ヘアケア製品を地元のいくつかのサロンで細々と販売していました。その商品の評判は決して悪くなく、むしろ好評で、地元には根強いファンも少なからずいたました。そこで製品の良さに自信をもったその会社では、その商品をインターネットでも販売することを決め、ソーシャルメディアを活用しました。しばらくすると、その商品の良さは地元の商品利用者のファンからソーシャルメディアを介してインターネット上で広がり、地元だけではなく、カナダの各地、さらにはアメリカからも購入者が現れ、同社の売り上げはそれまでとは比較にならないほど大きく伸びたそうです。まさに、Rebuild Nation社のJosh Gershonowicz氏が明言する通り、オリジナリティのある良いコンテンツとソーシャルメディアの持つ情報の拡散と共有により、もたらされた成功事例と言えます。
一体いつになったらソーシャルメディアからお金を生み出すことができるでしょうか?実はその答えを出す前に、あなたのコンテンツ(商品やサービス)は一体何なのかをもっと知る必要があります。販売の速度を速めるのは、ウェブツールや手法の活用、ソーシャルメディアに費やした時間にあるのではありません。あなたが取り扱うコンテンツそのものと、その伝え方が鍵となります。
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